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2011 11 26 人工と自然と

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造花の胡蝶蘭.昨年末に天神山が完成したときのお祝いで頂いたものだ.
ここでは永遠に枯れぬ偽物の花と,日毎に様相を変える本物の葉が同じように並ぶ.私はその風景が愛おしい.

人工と自然の違いは何か.
違いは無いと思う.
二つの間にあるのは,人が都合良くつくり出した境界線だ.それを考え直す必要がある.

世の中のだいたいのものには,形と色があり,さらには香りや,味や,触感で私たちを楽しませてくれるものもある.それが,自然のものでも,人工のものでも別に構わない.日常を見回せば,人工的なものを生き物のように愛でることも,自然のものを工業製品のように扱うこともある.今まで,納屋や,枯れていく絵や,森の都などの作品で,人工と自然の境界線に着目した.なぜ自然のつくり出した美しさと,人のつくり出した美しさを同列に受け取ることが出来ないのか,結局は,生命の尊厳をうたう教義や道徳の功罪に行き着く.

しかし,自然や生命は神秘的なもので冒涜してはいけない領域だと教えても,現実には古くから食料としての家畜はいたし,ターミネーターシードやES細胞やクローンといった,二つの境界線上にある技術進歩が止むことはなく,今後も生命の分野には容赦なく人の手が入り,高度に自然と人工が入り組むだろう.そんな未来には,自らの矛盾した社会をうまく説明するための新しい考え方がきっと必要になる.建築の分野も例外ではない.建築の設計を通して,人工と自然について考えなければならない.