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2011 10 19 新建築住宅特集 七つの庭のある住まい

本日発売の新建築住宅特集11月号に「七つの庭のある住まい」を掲載して頂いた.同号のUIA2011東京大会の欄には「発砲灯」が優秀賞を頂いた記事もあわせて載っている.
七つの庭のある住まい」は10ページにわたり,見開きの平面図や断面図や矩計図など読み応えがある.

敷地一杯に引いた輪郭線の中に,内外問わず様々な部屋が並ぶ住宅.大小あわせ17あるが,部屋ごとに変化を付けようとは思わなかった.むしろ各部屋をどんどん繋ぎ,差異を弱め,空間全体を均すように設計した.その結果,家全体にワンルーム的な大らかさが生まれ,その広がりの中に明るさや静けさや繋がり具合の濃淡ができた.濃淡の地図は,天気や季節や時間の移り変わりとともに揺れ動き,それに沿った暮らしがある.誰かと誰かの間に雨が降り,光が射し,木々が視線を遮り,風が空気を繋ぐ,そんな情景が現れては消える家.天神山や萩塚とはまた違う,優しい雰囲気の建築だ.

雑誌掲載の際,空間を映しとる写真家とそれを展開させる編集者と共に,どうしたら建築のもつ雰囲気が伝わるのか設計者は考える.写真やレイアウトに触発され,言葉を一つ一つ見つけては,重ねてゆく.
今回は,平面図以外に家全体を把握する手がかりは無い.あまり説明的になりすぎないように.この住宅の持つ優しさと大らかさが伝わるように,注意深く写真選定と配置が行われた.ページを繰るにつれ,住まい手の目線からの風景が流れるように繋がってゆく.誌面の印象が,家のもつ雰囲気に似合っている.

1冊の雑誌には様々な作品が掲載されていて,建築ごとに写真や編集の違いがあり,それを読むこともまた興味深い.そしてそれは,自ら設計した建築を客観的に捉え直す作業にもなる.作って考え,発表して考え,批評されて考え,そしてまた作る.そういうサイクルの中に,出来ることなら身を置きたい.