
昨日発売の「
Discover Japan」で,高崎のモダニズム建築の特集が組まている.
誌面上には,
小阿瀬さん,
植木さん,
太田さん,そして私の4人の建築対談が綴られている.
語るは,レーモンド設計の高崎
音楽センター,ブルーノタウトが暮らした洗心亭,そしてかつての井上房一郎の自邸である高崎哲学堂.
建築は,時代の要求を満たす性能を備えて生まれてくる.やがて,時間が経ち,社会が変化し,技術が進化すると,時代相応のスペックを満たせなる.現在の
音楽センターがそうだ.
相思相愛の関係であった群馬交響楽団と
音楽センターの間にもいつしか齟齬は生じ,やがて別れの時が来るかもしれない.
置いてきぼりになる
音楽センターのことを,考えてみる.
建築から本来の機能をはぎ取り,標本のように保存するのは悲しい.かと言って,あの場所から消えるのは寂しい.それは個人的な思い入れというより,
音楽センターが既にこの街の個性となっているためだ.地方都市は,ダイナミックな大都市にも,雰囲気が残る田舎にもなれず,凡庸な風景を量産しがちだ.日本中どこにでもあるような街の,数少ないアイデンティティとして重要である.
私たち市民は,あの場所や形態や素材に,自らの記憶を重ね合わせることが出来る.それは,東京にとってのスカイツリー,京都にとっての清水寺,大阪にとっての通天閣のような,その場所で暮らす人にとって,いつも隣にある存在.人と町と建物が繋がっている姿.
例え機能は変われど
音楽センターを使い続けたい.それは野外音楽堂のような役割か,無柱の展示会場か,あるいは公園にかかる大屋根の遺跡のような姿かもしれない.それを私たちは考える.

雨のち晴のち雨.
ここ最近,大気が不安定.
久しぶりの完全な休日なので,太陽のある間は,布団を干した.

春の大雨.
いつやって来たかモンキチョウが寝室の窓にいる.
雨降りでも高窓が空いているから,入ってきたのだろう.
嵐のような外の世界を,じっと眺めていた.
雨の土曜日.
オンデザインパートナーズのうち5人の皆さんが天神山と萩塚にいらした.

オンデザインの代表の西田さんとスタッフの方々の関係は,名前の通りパートナーの雰囲気.皆さん発言したり,各自思い思いに動いたり,本棚に登ったり.一緒の場にいると自由な空気が伝わってくる.
多忙極まるだろう日常のなかで,5人が行動を共にしていること自体がすごい.


最近,私が天神山にいる時間は減り,単独で外に出る機会が増えている.一日のうち,スタッフと一度も打ち合せできない日もある.事務所全員でどこかへ出かけることも減った.
仕事が分業になりすぎていないか?
個性を大切する空気は,きちんとあるか?
今日オンデザインの皆さんと一緒に居て,そんなことを自問したくなった.
朝7時,
FLOWの佐藤さんの呼びかけで,建築仲間が
自転車で集まり,群馬の森までポタリング.


磯崎さんの美術館前の芝生で朝ご飯,ゆっくり風が流れている.
皆それぞれ事務所の経営者なわけで,会話は自ずと仕事の話になるが,春の暖気が笑い声を誘い,いつのまにか仕事の話をしながら,仕事を忘れている.
自転車漕ぎながら喋ってる感じは学生時代みたい.
心地よい.
昨夜出かけたチェロの音楽会もそうだけど,日常と日常の間に,少しのリラックスの時間があると,気持ちはずいぶん楽になる.
また,行きましょう.

昨晩の雨の匂いの残る,暖かい空気.
日の出の前に出発し,
オートバイで榛名の麓をぐるり.
私の牧歌的なヤマハに比べ,叔父のカワサキは現代的.
澱みなくメーターが駆け上がり,まわりの景色を置いてゆく.
オートバイは外部と触れているようでいて,実は自分の内面に潜り込む装置だ.
ヘルメットに反響する自分の呼吸音が固い殻を思わせ,外の景色は別の世界の出来事のよう.
分厚い皮のジャケットとズボンとブーツとグラブは,外界に挑む戦闘服のよう.
自然環境の流れと繋がるには,すこし速度が速すぎるのだ.
殻の中で感覚が敏感になり,寝不足頭は覚醒してゆく.
戻ったら,さあ,7時半からいつもどおり仕事だ.

夜,雨は霧のように微細になり,屋根の上を柔らかく覆った.
表面張力の限界を超えた雨粒が,一筋,また一筋と,思い出したように,水の道を作ってゆく.
それを,静かに見上げている.
マニアッカーズデザインが,ブラジル人のデザイナーの
KENと一緒に天神山にやって来た.
小阿瀬君とともに,昨年の中之条ビエンナーレのメンバー3組が,久しぶり一堂に会す.
KENと話すために会話が英語になると,よく知ったみんなのキャラクターが少し変わるのが面白い.
日本語は難解だ.
ひらがなと,カタカナと,漢字と,アルファベットが並ぶ文章が現代の日本語.意味を持つ文字,音だけの文字.外来の文字,日本固有の文字.それらが当たり前のように
言葉の中に共存している.
多様で複雑で節操のない,きわめて魅力的な言語.
マニアッカーズのフォント話を聞いていると,日本語がもっと好きになる.